本文へ移動
MY ARCHITECTARCHITECTURE / CITY / CULTURE INDEPENDENT ARCHITECTURE MEDIA — JAPAN
住宅設備

カーテンウォールとは|構造・種類・メリット・防水と耐火を解説

カーテンウォールの意味を、構造体との関係、スティック・ユニット方式、ガラス・金属・PCパネル、防水、地震時の追従、耐火、改修まで図解します。

BY MY ARCHITECT11 MIN READ
建物を包むガラス

高層ビルのガラス面を「大きな窓」と呼ぶだけでは、その仕組みを半分しか捉えられません。柱や梁で建物を支え、その外側へ比較的軽い外皮を取り付ける。これがカーテンウォールを理解する入口です。

名前の由来は、構造体へ幕を掛けるように外壁を取り付けること。とはいえ、布のように荷重がないわけではありません。自重、風圧、地震時の変形、温度伸縮、雨水、室内外の圧力差、火と煙へ対応する、高度な外装システムです。

要点
カーテンウォールは、一般に建物の鉛直荷重を支える耐力壁ではない外壁です。ただし、自らの重さと風圧等を取付部から構造体へ伝えます。「構造に関係しない壁」ではなく、「主体構造と役割を分けた外皮」と考えると正確です。

耐力壁との違い

鉄筋コンクリートの壁式構造では、壁そのものが床や上階の重さ、地震力を負担します。一方、典型的なカーテンウォール建築は柱と梁、床などの骨組みが主体構造となり、外壁は各階または複数階ごとに取り付けられます。

この分離によって、外壁を軽量化し、大きな開口や工場製作を採用しやすくなります。建物が揺れた時には、骨組みの層ごとのずれを外壁が無理に拘束せず、ファスナー、目地、ガスケット等で追従する設計が必要です。

床と梁、方立、ガラスパネル、取付ファスナーでカーテンウォールの構成を示す断面概念図
外皮は自重と風圧等を構造体へ伝え、建物の動きへ追従するよう取り付けられます。編集部作図。

図は考え方を単純化したものです。実際の納まりは建物高さ、構造種別、外装材料、地域、性能要求で変わります。カーテンウォールを「ガラスの壁」とだけ覚えると、金属パネルやプレキャストコンクリートを見落とします。

なぜ高層建築で使われるのか

外壁を軽くできる

外壁が軽くなれば、主体構造と基礎へ加わる重量を抑えられます。高層になるほど外皮面積は増えるため、重量差の効果も大きくなります。ただし、軽い外壁は風による変形、音、熱、結露へ別の設計を必要とします。

工場製作で品質を管理しやすい

ユニット方式やPCカーテンウォールは、工場で枠、ガラス、パネル、シールの一部を組み立て、現場へ搬入できます。天候の影響を減らし、寸法と検査を管理しやすくなります。工場製作なら自動的に高品質なのではなく、輸送、吊り込み、現場継手、交換手順まで設計して初めて利点になります。

外観と性能を統合できる

窓、腰壁、日射遮蔽、換気部材、設備開口を一定のモジュールへ組み込めます。反復するグリッドは施工の合理性と立面の秩序を同時につくります。一方、同じモジュールを全面へ反復すると方位差を無視しやすく、東西面の日射や眩しさを個別に検討する必要があります。

スティック方式とユニット方式

カーテンウォールの現場組立方式、ユニット方式、プレキャストコンクリート外壁を比較した図
施工方式と材料分類を分けると、外装システムの違いが整理しやすくなります。編集部作図。

スティック方式

縦の方立と横の無目を現場で主体構造へ取り付け、ガラスやパネルを組み込みます。細長い部材を一本ずつ組む様子からスティック方式と呼ばれます。現場で調整しやすく、比較的小さな面や複雑な形にも対応しやすい反面、高所作業と現場工程が増えます。

ユニット方式

一層分程度の高さを持つ外壁ユニットを工場で組み、各階の端部へ順次吊り込みます。下階のユニットとの継手を重ね、排水と気密を連続させます。高層建築で施工速度を得やすい一方、ユニットの輸送寸法、揚重計画、取付公差、壊れた一枚の交換方法まで先に決めます。

方式は優劣ではなく、建物の規模、形、工期、現場条件、製作体制から選びます。同じ建物でも低層部と塔状部、エントランスと基準階で方式を使い分けることがあります。

材料による違い

メタルカーテンウォール

アルミニウム合金の押出形材を枠とし、ガラスや金属パネルを組み込む構成が代表的です。アルミは軽く加工しやすい一方、熱を伝えやすいため、断熱材、断熱ブレーク、室内表面温度、結露を考えます。異種金属の接触や表面処理、海塩粒子など環境条件も耐久性へ関わります。

ガラスカーテンウォール

透明・半透明な外皮は、眺望と自然光を得る反面、日射取得、熱損失、眩しさ、衝突安全、防火、清掃が課題になります。Low-E複層ガラス、合わせガラス、日射遮蔽部材などを、方位と室用途に応じて選びます。「全面ガラスだから明るく省エネ」とは限りません。

PCカーテンウォール

工場で製作するプレキャストコンクリートの外壁パネルです。石やタイル、凹凸を一体化した重厚な表情をつくれます。メタル系より重いため、取付金物と主体構造への荷重、揚重を慎重に計画します。目地、ひび割れ、鉄筋とかぶり、仕上げ材の落下防止も長期維持へ関わります。

雨を「一線で止める」と考えない

高層建築の外壁には風と雨が同時に当たり、外側と内側に圧力差が生まれます。シーリング材の表面一線だけへ完全防水を期待すると、劣化や小さな欠損が直ちに漏水へつながります。

カーテンウォールは、外側で多くの雨を遮り、侵入した水を空間へ受け、排水経路から外へ戻す考え方を取ります。ガスケット、シール、排水穴、ジョイントが連続し、経路が塞がれていないことが重要です。内側は空気の流れを抑え、圧力差による水の吸込みを防ぎます。

漏水は必ずしも水が見えた場所の直上から入りません。方立や無目の内部を移動することがあり、調査では風向、降雨、目地、排水経路、過去の補修を合わせて追います。上からシールを足すだけの補修は、水の出口を塞ぐこともあります。

地震と温度変化へどう追従するか

建物が地震で横へ変形すると、上下階の床位置がずれます。外壁ユニットを四隅で完全に固めれば、枠やガラスへ変形が集中します。取付ファスナーは荷重を支持する点と、所定方向へ動ける点を分け、目地幅とガラス支持部にも余裕を持たせます。

アルミ、ガラス、コンクリートは温度で伸縮する量が異なります。日射を受ける外面と空調された内面でも差が生まれます。部材長、色、方位を考慮し、伸縮を目地と接合部へ逃がします。施工時の気温と位置が基準になるため、現場管理も設計性能の一部です。

カーテンウォールの性能を水の排出、変形追従、床端部の防火の三つで示す図
外装性能は一部材ではなく、継手、取付部、床端部まで連続するシステムとして考えます。編集部作図。

床端部の防火を忘れない

床スラブの先端とカーテンウォールの間には、施工上の隙間ができます。そこを適切に区画しなければ、下階の火炎や煙が外皮内側を通り、上階へ回り込む経路になり得ます。層間塞ぎ、腰壁部、ガラス、スパンドレル、取付部を一続きで検討します。

防火性能は材料単体の「不燃」表示だけでは決まりません。建築基準法上の要求、認定された構成、施工要領、目地と貫通部の処理が関係します。現場で断熱材や防火材を別製品へ置き換えると、システムとしての性能を失う可能性があります。

熱・結露・音の設計

外皮の断熱性能はガラス中央部だけでなく、枠、スペーサー、スパンドレル、床端部、取付金物の熱橋を含めて評価します。室内の湿度が高く表面温度が低ければ、枠やガラス端部へ結露します。結露水の排出と、隠れた部材の腐食・カビにも注意します。

遮音はガラスを厚くするだけでは決まりません。目地の気密、換気口、パネル、床端部、側路伝搬が弱点になります。外の交通騒音と室間の音、雨音では周波数と経路が異なります。求める静けさを数値と使用条件へ置き換えます。

維持管理は設計時から始まる

シーリング材、ガスケット、塗装、ガラス、取付金物は同じ寿命ではありません。高層外壁は近づくだけでもゴンドラやロープアクセスが必要です。点検口、清掃設備、交換できる部材寸法、搬出経路を設計時に確保します。

竣工後は、目地のひび・剥離、ガスケットの縮み、排水穴の詰まり、ガラスの欠け、パネルの浮き、腐食、室内側の結露痕を定期的に記録します。台風や地震の後は臨時点検を行います。外から見える小さなシール切れが、内部では広い濡れになっている場合があります。

改修で難しいこと

築年数が進むと、当初製品が廃番、図面が不足、ガラス寸法が現行設備へ入らないなどの問題が起きます。一枚交換でも、色・反射・透過率が周囲と合わないことがあります。全面更新、カバー工法、シール更新、ガラス交換を、足場、テナント使用、環境負荷、耐用年数で比較します。

外観を守るため同じ見た目にするだけでなく、現在の風荷重、耐震、防火、省エネ要求と既存構造の余力を調べます。カーテンウォール改修は、外装業者だけで完結せず、構造、設備、防火、環境、保存の調整が必要です。

街で見る時のチェックポイント

  • 一層ごとの水平目地はどこにあるか。
  • 柱・梁のグリッドと外皮の分割は一致しているか。
  • 透明部と不透明部、床端部はどう切り替わるか。
  • 角部、入口、屋上でモジュールがどう終わるか。
  • 方位でガラス、ルーバー、深さが変わるか。
  • 清掃装置と保守動線がどこに隠れているか。

美しいファサードは、目地を消した壁ではありません。水、熱、動き、施工誤差を受け止める目地を、立面の秩序として扱った外皮です。

カーテンウォールを見る時は、ガラスの反射の一段奥を見てください。どこで支え、どこで動き、どこから水を出し、火をどこで止めるか。その見えない経路が、軽やかな外観を成立させています。

設計は要求性能を言葉にするところから

外装の形を描く前に、風圧、水密、気密、断熱、日射、結露、遮音、防火、耐震、耐衝撃、耐久、清掃などの要求を整理します。同じ立面でも、海岸、高層部、低層の歩行者空間、機械室前では条件が違います。基準階の一つのディテールを全面へコピーせず、ゾーンごとに外力と室用途を確認します。

目標値だけでなく、どこを測るか、どんな状態を合格とするかを決めます。室内温度と湿度、外気条件、カーテンや家具の位置で結露リスクは変わります。音も、道路交通、航空機、設備、雨で評価周波数が違います。要求が曖昧だと、ガラスと枠の仕様を上げても弱い継手が残ります。

モックアップと性能試験

大規模案件では、実物大に近いモックアップを製作し、外観、施工性、清掃、室内仕上げとの取合いを検証します。必要に応じて圧力を掛け、水を散布し、漏水や変形を確認します。図面上で納まっても、ガスケットの挿入、ボルト締付け、シール施工へ手が入らないことがあります。

試験の価値は合否だけではありません。どの圧力でどこから水が入り、排水経路がどう働き、補修後に再現できるかを記録します。都合のよい一体だけを試すのではなく、角、異種部材、開口、層間など弱点になりやすい部分を含めます。モックアップで決めた施工順序と許容差を現場へ確実に引き継ぎます。

施工誤差を目地へ集める

鉄骨やコンクリートの躯体は設計寸法どおり完全にはできません。カーテンウォール側にも製作公差があります。両方の誤差を取付金物の調整範囲と目地で吸収し、ガラスやパネルへ無理な力を残さないことが必要です。

着工後は躯体位置を実測し、基準線を設定して取り付けます。調整金物を許容範囲の端で使い切る箇所が続くなら、個別に無理を押し込まず原因を追います。目地幅が外観へ現れるため、性能、施工性、意匠の三者で合意します。

鳥・人・街への配慮

大面積の透明・反射ガラスは、鳥が空や植栽の続きと誤認して衝突する可能性があります。外付けのパターン、ルーバー、ガラス仕様、植栽配置を早い段階で検討します。室内側の小さなシールを数枚貼るだけで十分とは限りません。

低層部では、ガラスへの人体衝突、落下物、眩しさ、見え方、プライバシーを考えます。高層部の反射が周辺道路や住宅へ影響する場合もあります。外皮は敷地境界で終わらず、街の光、熱、生態系へ作用します。

夜間は室内照明によって外皮の見え方が反転し、内部が街へ現れます。昼の完成予想図だけでなく、夜の眩しさ、広告、執務者のプライバシー、渡り鳥への影響を確認します。ブラインドを閉めた状態も立面の一部です。

ガラス面積を増やす判断は、眺望を得る席と、眩しさや冷放射を受ける席の両方から評価します。外観の均一性のために全周を同じ仕様にせず、方位と室用途へ応じた応答を一つのデザインへまとめます。

参考資料

図は一般概念を示す編集部作図です。個別建物の設計・改修は、適用法令、認定仕様、構造条件、製品仕様に基づき専門家が行います。