建築設計において、寸法は非常に重要です。正確な寸法がなければ、どんなに素晴らしいデザインも実現は難しくなります。
しかし、実際に建物を訪れたときや家具を選ぶ際、自分の体を基準に寸法を測ることは簡単ではありません。特に公共の場でスケールを使うことはためらわれることが多く、自分の体型に合った家具を選ばなければ、使い勝手が悪くなることもあります。
そこで今回は、自分の体を使って寸法を測り、快適に過ごせる空間を作るための方法をご紹介します。
まずは人間工学を知ろう!
建築やインテリア設計の基礎には人間工学のデータがあります。
人間工学は、人間の体のサイズや動き、機能を科学的に理解し、それを設計に反映させる学問です。アメリカでは「ヒューマンエンジニアリング」、ヨーロッパでは「エルゴノミクス」と呼ばれています。
人間工学の重要性
建築やインテリアの設計では、人間の身体的特徴や行動パターンを考慮することが必要です。
椅子の高さや机の配置、通路の幅などは、人間が快適に使えるように設計する必要があります。これらを無視すると、使いにくいだけでなく、身体に負担をかけることになります。
人間工学に基づく基本的な人体寸法
人間工学に基づいた設計を行うためには、人体寸法の理解が不可欠です。以下に、基本的な指標を示します。
人体寸法の略計値
眼高:視線の高さ。座面高400mmの椅子に座った場合、視線の高さは約1200mmになります。これは視覚的快適さを保つための重要な要素です。
肩峰高:床から肩先までの高さで、腕の動きや可動域を考慮する際に役立ちます。この寸法はデスクや作業台の設計において重要です。
指極:両腕を水平に伸ばしたときの指先の距離。この測定は、手の届く範囲を把握するために役立ち、特にキッチンやオフィスの配置を考える際に重要です。
基本の4つの姿勢
人間の姿勢は日常生活のさまざまな行為に影響を与えます。以下の4つの姿勢を理解することで、快適な生活空間をデザインする手助けとなります。
立位:立っているときの動作や疲労感に影響します。長時間の立位に適したフロアの素材や配置も考慮しましょう。
椅座位:椅子に座っている姿勢。長時間の座位による体への負担を考慮し、適切な椅子の選択が重要です。
平座位:地面にしゃがむ姿勢。特に子どもや高齢者にとって、日常生活で重要な姿勢です。
臥位:寝ている姿勢。マットレスや寝具の選択が、健康や睡眠の質に大きく影響します。
自分の体を基準にした快適な暮らしの実現
自分の体を使って寸法を測ることは、建築やインテリア設計において重要です。
日常生活における寸法の活用や、体を使った実験、フィードバックを受けることで、快適な空間を作り出すことができます。自分の体型や動作を理解することで、より良い生活環境を実現できるでしょう。