建築学生におすすめ★建築を題材にした小説3選!

五重塔

読んでみました。五重塔の建立に身を捧げる宮大工の話です。登場人物の一人である職人気質な大工の十兵衛は、人間関係に不器用なところがたまに傷ですが、愚直に自分の腕を信じ、職人道を突き進む姿が読んでいて胸が熱くなります。彼の仕事の手ぬかりのなさは職人の鑑です。彼とは反対に義理人情を重んじる親方大工の源太のもつ気質がまた読んでいて気持ちがいい。五重塔づくりを巡ってのこれら二人の対比が、文語体でリズミカルに描かれています。一見読みづらそうなのですが読み始めるとなぜか引き込まれます。これが文豪と呼ばれる小説家のもつ筆力なのでしょうね!

火山のふもとで

建築設計事務所の新人所員である主人公とそのボスである建築家の交流を描いた小説です。リアルな建築と設計に関する美しい文章が小説の世界観をかたちづくっています。小説をとおして語られる建築家の言葉もまた素敵ですし、小説舞台のひとつとなっている軽井沢の風景とそこに住む人たちのとの交流、山荘で流れる音楽とスタッフで食す美味しそうな料理などもこの小説の魅力です。ストーリーのなかでは設計競技の参加作品をスタッフ一丸となって作り上げたりするシーンなんかもあり、建築経験者としては興味深く読み進めることができます。著者の建築に関する見識も素晴らしく、私自身、専門家として描写などを気にすることなく小説に没頭することができました。

地図と領土

主人公が現代アーティストの物語です。この小説のなかで作り出す芸術作品の表現描写がすばらししいです。彼の作り出す作品はほとんど視覚を主にしたものなのですが、それが見事に文章で表現され、実際に作品を鑑賞している気持ちにさえなりました。そしてこの小説での醍醐味は、登場人物を通して繰り広げられる作者の偏愛にも近い社会に対する考察です。それは様々な分野の視点から語られ、ストーリーに組み込まれていることに作家の力量を感じます。特に大手の設計会社の経営者である主人公のお父さんは彼の創作活動のキーパーソンであります。彼らの会話からは、若い頃はデザイナーであるウィリアム・モリスに憧れた話や近代建築の巨匠ル・コルビュジェに対する批判などが触れられている部分は読み応え抜群ですね!

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