現代建築の巨匠 レム・コールハースを読み解く

世界遺産

レム・コールハースとは?

レム・コールハース(Rem Koolhaas)は、オランダ出身の建築家、都市論家であり、現代建築界で最も影響力のある人物の一人です。

1975年に設立した「OMA(Office for Metropolitan Architecture)」を通じて、コールハースは建築にとどまらず、都市計画、出版、展覧会デザインなど、さまざまな分野で活躍しています。彼のアプローチは常に革新に満ち、建築の常識を超えたユニークなデザインを生み出しています。

コールハースの思想は、都市のダイナミクスと建築の関係に注目し、社会的、経済的、文化的文脈を深く考慮に入れるものです。彼は、建築が都市生活に与える影響を探求し、都市空間の可能性を最大限に引き出すためのデザインを追求しています。


レム・コールハースの有名建築3選

CCTV(中国中央電視台本部ビル)

CCTV(中国中央電視台本部ビル)

CCTV」は、中国北京市に位置する中央電視台の本部ビルで、OMAによって設計され、2012年に完成しました。

この建物は、斬新な形状が特徴で、2つの大きなタワーが斜めに傾いて交差しています。このデザインは、建物の堅牢性と柔軟性を象徴し、視覚的にも強いインパクトを与えています。

総床面積約473,000平方メートルを誇り、スタジオ、オフィス、会議室が含まれています。特に特殊な鋼製フレームを使用しており、これにより建築技術の新たな地平を切り開きました。

コールハースの緻密な設計によって、CCTVは機能性と美しさを両立させ、国際的に高い評価を受けています。

シアトル中央図書館

シアトル中央図書館

シアトル中央図書館」は、アメリカ・シアトルにある公共図書館で、2004年に開館しました。

その現代的で独特な外観により、地域のランドマークとなっています。外装にはガラスと鋼鉄が使われ、曲線と直線が複雑に絡み合うデザインが特徴です。

図書館内部は、10階以上が図書館スペースとなっており、各階には色分けされた本棚や自習スペース、読書用の椅子、スタディルームが設けられています。

また、専門家によるアドバイスを受けられる「人文科学センター」や、音楽や映像のライブラリーがある「メディアラボ」もあり、多様なサービスを提供しています。

シアトル中央図書館は、建築美と機能性を見事に融合させた革新的な公共施設の一例として高く評価されています。

ザ・ロッテルダム

ザ・ロッテルダム

ザ・ロッテルダム」は、オランダのロッテルダムにある超高層ビルで、コールハースによって設計され、2013年に完成しました。

約150メートルの高さを持つこのビルは、45階建てで、外観は斜めに積み上げられた複数の立方体が組み合わさった独特なデザインです。この構造により、各階には広いバルコニーが設けられ、居住者やオフィス利用者が外の景色を楽しむことができます。

内部には住居、オフィス、商業スペース、ホテルが設けられ、複合的な用途が設定されています。特に、エレベーターや階段の配置が斜めになっている点は、従来のビルとは異なる新しい空間体験を提供しており、ユーザーの動線を革新的にデザインしています。

ザ・ロッテルダムは、先進的な設計技術と独自のデザインによって、国内外から高い評価を得ています。

コールハースの影響を受けた建築家たち

コールハースの思想やスタイルは、多くの建築家に影響を与えており、弟子として知られる建築家には以下のような人物がいます。

  1. ビャルケ・インゲルス (Bjarke Ingels): デンマーク出身の建築家で、ビャルケ・インゲルス・グループ(BIG)を設立し、コールハースと共に働いた経験を持つ彼のデザインには、コールハースの影響が色濃く残っています。
  2. ザハ・ハディッド (Zaha Hadid): イギリスの建築家で、若い頃にOMAで働いていたことがあります。彼女の流れるようなデザインは、コールハースの影響を受けたものとされています。
  3. アレハンドロ・ザエラ・ポロ (Alejandro Zaera-Polo): スペイン出身の建築家で、OMAのパートナーとして活動。彼もまたコールハースからの影響を受け、独自のデザイン哲学を発展させました。

コールハースの思想とアプローチ

レム・コールハースは、都市と建築の関係性を深く探求し、その思想は著書「S,M,L,XL」にも反映されています。


この本は、建築と都市計画の新たな可能性を探求するもので、特に都市の複雑性を理解し、それに応じた建築の役割を考える重要なテキストです。彼のアプローチは、建築物が持つ文脈を重視し、社会的な機能を果たすための設計を心掛けています。

コールハースは、都市の多様性と流動性に着目し、建築がその中でどう機能するかを考え続けています。彼の作品は、単に美しさだけでなく、都市と人々の生活に寄与するものであり、そのために新たなデザイン手法や技術を積極的に取り入れています。

まとめ

レム・コールハースは、現代建築の先駆者であり、その革新的なデザインと独自の思想は、世界中の建築家に影響を与え続けています。

彼の作品は、建築だけでなく、都市のあり方や人々の生活様式に新たな視点を提供し、これからの都市空間の在り方を再考させる貴重な例となっています。

コールハースの影響は、今後も多くの建築家やデザイナーに引き継がれていくことでしょう。