フランク・ロイド・ライトとは?
「フランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright)」は、「有機建築」の先駆者として知られています。自然と調和する建築を追求し、多くの革新的な建築物を生み出しました。
ライトは、1867年にアメリカのウィスコンシン州に生まれ、シカゴの建築事務所で学び、1901年に自身の事務所を設立。初期の作品は、ヴィクトリア朝様式の建物でしたが、やがて独自のスタイルを確立しました。
有名なものに、1910年代に建てられた「ロビー・ハウス」や「フランク・ロイド・ライト自邸」、1930年代に建てられた「フォーディ邸」、「フロートハウス」などがあります。
また、フランク・ロイド・ライトは、建築家としてだけでなく、教育者や著述家としても活躍しました。建築と人間との関係、自然との関係を探求し、その考え方を『自然の家』や『The Future of Architecture』などの著作にまとめました。また、彼は建築学校で教鞭をとり、多くの建築家や設計者に影響を与えました。
自身が設計した建物の内装、家具、照明などにもこだわり、建築を総合的な芸術作品として捉えていました。そのため、彼の作品は、建築以外の分野にも影響を与え、グラフィックデザインや家具デザインなどにも独自のスタイルをもたらしました。
彼は、90歳近くまで創作活動を続け、その間に多くの優れた建築作品を残しました。現在、彼の作品は、世界中で多くの人々に愛され、保護されています。
代表建築3選
ここではフランクロイドライトの代表建築を紹介します。
その後には日本に現存する建築も紹介しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
ユニティ・テンプル
1905年にシカゴ郊外で建設されたこの教会は、コンクリート構造が特徴的です。当時としては革新的なデザインで、公共建築の在り方に一石を投じました。
落水荘
1935年にアメリカ・ペンシルベニア州に建設されたこの住宅は、川の上に直接位置しており、そのデザインが特徴的です。
崖の上に立つため、まるで滝と一体化しているかのように見え、自然と調和した美しさを醸し出しています。
これは建築史において名作として知られ、フランク・ロイド・ライトの代表的な作品の一つとされています。
ソロモン・R・グッゲンハイム美術館
1959年にオープンし、現在でもニューヨーク市内を代表する建築物の一つとして知られています。
円形を基調とする建物で、中央に吹き抜けがあり、縦に伸びるスペースに展示室が配置。また、ライト自身が設計した家具や照明器具も展示されており、美術作品とともにライトのデザインにも触れることができます。
ここで紹介した3つの建築は『フランク・ロイド・ライトの20世紀建築作品群』の8つに入り、2019年の第43回世界遺産委員会で世界遺産登録を受けています。
日本のライト建築
帝国ホテル
1923年、東京千代田区に「帝国ホテル」は開業しました。
ライトの建築によって、東洋的な美意識と西洋の近代的な技術が見事に融合された、独創的な空間が生み出されています。また、客室やロビー、レストランなどもライトのデザインによって統一されたスタイルで揃えられており、建築とインテリアの一体感が感じられるホテルとして知られていました。
開業したまさにその日に関東大震災に被災しながらも倒壊することなく、ほとんど無傷で残りました。現在は愛知県の明治村に中央玄関部分が移管されており、当時の姿を確認することができます。
ヨドコウ迎賓館
「ヨドコウ迎賓館」は、兵庫県西宮市にある迎賓館です。1924年に竣工し、以来、天皇皇后や海外の要人をはじめとするVIPを迎える場所として使用されていました。
ライトの創意工夫が凝らされた、曲線を多用した美しい建築物であり、内部には豪華な装飾が施されたスペースが広がっています。
日本にあるライト建築で、唯一見学できる個人邸宅であり、現在も公式行事などに使用され、その美しさと実用性は高く評価されています。
自由学園明日館
フランク・ロイド・ライトが設計した「自由学園明日館」は、東京都豊島区にある学園の校舎です。
ライトの特徴的な「オーガニック・アーキテクチャー」が発揮され、現代的な美しさと機能性を兼ね備えた建築物となっています。また、学園の教育理念とも合致する、開放感と自由な空間が多用されているのも特徴です。
現在は、ウエディングやセミナー、コンサートなどが行われる場所として、多くの人に愛されています。
まとめ
フランク・ロイド・ライトの建築は、その独特なデザインと自然との調和によって、今なお多くの人々に愛されています。
彼の代表作を訪れることで、彼の思想や建築理念を直接体験することができるでしょう。